2016.2.4
福岡行きの空港で日記をつけている。相変わらず制作のみの一週間であった。
31日に友人と久しぶりの外食。友人が出版した冊子本を受け取る。最初に形にする場合は、凝り過ぎたり欲張ることが多いと思うのだけれども、そういうところがまるでなく、書き手と読み手の距離感にとても礼節的趣きがあり、本当に彼女の佇まいそのもののような本であった。
2日。約1カ月間不在のため、猫らを友人宅へ預けに行く。雄猫スピカがキャリーバックの中で粗相。またマーキングが復活していたのである。
最近毎夜我が家の窓際に、横腹にハートマーク斑がある猫が現れる。雄猫スピカは一見無思考無頓着な猫に見えるのだけれども、実はとても男気がある猫である。雌猫おろちのためかは定かでないが、巨大な黒猫や若い鯖トラ猫を激闘で蹴散らし、ようやく安心な日々を過ごしていたスピカであったのだが、ここに来てまた新たな猫が出現。
実はそのハート猫、近所の飼い猫で、引越して来た当初からやたら人懐こく私に擦り寄って来ていた。私もそれに快く応えていた。つまり私の馴染みの猫である。
ところがそのハート猫、我が家に来ると往来で会う時とまるで様子が異なる。屈託なくクニャクニャはにゃはにゃする態度は全く無く、ガラス越しにスピカの真向かいに佇み、挑発的にジッと薄目で見ている。スピカの威嚇にも無反応である。ふん、出られぬくせに。という舐めきった風情である。スピカはそれを察し、さらに激昂する。流石に近所迷惑になってきたので、ハート猫をほら、帰りなさいよ。と追い払った。
その夜から、マーキングが復活したのである。事情を知っているため、無下に叱れない。毛布にやられても、コートの内側にされて着てしまった後に気づいても、無言で処理。
しかし或る日、スピカのお気に入りの居場所であった無印のビーズクッションにマーキングをした。故に彼は好場を無くしてしまった。猫は衛生管理能力が通常高い。
不憫の感など全く起こらなかった。
それ以来もよくハート猫とは出会す。夜の太々しい態度は皆無で、やはり昼間になるとはにゃはにゃ寄って来る。どういうつもりかと人なら思うであろうが、相手は猫である。然して猫とは理屈というものなど持ち合わせておらない。全て己の都合のみで生きている。これまた私は無言でハート猫の腹をさすった。
食事もあまりしていないのに、体重が少し増加。イカン!と思い筋トレをしたのだけれども、翌日筋肉痛で辛かったため2日坊主に。カードの引き落とし額にビビり、落ち着きを取り戻そうと猫の腹に顔を埋める。
そういう下らない出来事を反芻している間に飛行機が福岡に着いたので日記を終える。